【最判平成3年4月19日】法律上の争訟(2)-最高裁判所規則の司法審査

【事実】

最高裁判所規則の改正により、福岡地方裁判所甘木支部および福岡家庭裁判所甘木支部は廃止されることとなった。これらの支部の管轄区域に居住する住民Xらが、司法行政事務の担い手としての最高裁判所(Y)に対し、改正規則のうち本件支部を廃止する旨の部分の取消しを求めて提訴。1審・2審とも、訴えを却下する判断をしたため、Xらが上告。上告棄却。


【判旨】

「裁判所法3条1項の規定にいう『法律上の争訟』として裁判所の審判の対象となるのは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に限られるところ、このような具体的な紛争を離れて、裁判所に対して抽象的に法令が憲法に適合するかしないかの判断を求めることはできない・・・。」
「本件各訴えは、・・・本件改正規則・・・のうち・・・各甘木支部を廃止する部分について、これが憲法32条、14条1項、前文に違反するとし、また、本件改正規則の制定には同法77条1項所定の規則制定権の濫用の違法がある等として、Xらが廃止に係る・・・各甘木支部の管轄区域内に居住する国民としての立場でその取消しを求めるというものであり、・・・右の立場以上に進んでXらにかかわる具体的な紛争についてその審判を求めるものでないことは明らかである。そうすると、本件各訴えは、結局、裁判所に対して抽象的に最高裁判所規則が憲法に適合するかしないかの判断を求めるものに帰し、裁判所法3条1項にいう『法律上の争訟』に当たらない・・・。」


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