【最判平成21年4月17日】申請に対する応答(2)-住民票の記載を求める申出への応答

【事実】

父(X₃) ・母(X₂) は、その子(X₁) の出生届を提出する際、非嫡出子という用語を差別用語と考えて嫡出子・非嫡出子の別を記載する所定欄を空欄としたため、東京都世田谷区長は本件出生届を受理しないこととした。そこで、X₃は、区長に対し、X₁につき住民票の記載を求める申出をしたが、区長は本件出生届が受理されていないことを理由に記載をしない旨の応答をし、その後も同様の申入れに応じなかった。X₁・X₂・X₃は、この応答の取消し・住民票作成の義務付け・国家賠償を求めて出訴。1審は、本件応答を取り消した上で区長に住民票の作成を義務付けたが(国家賠償は請求棄却)、2審は、本件応答・本件不作為は適法としたため、X₁らが上告。一部破棄自判(訴え却下)・一部上告棄却。1審・2審とも、本件応答が処分性を有することを前提としていたが、最高裁は、職権で本件取消しの訴えの適否を検討し、本件応答の処分性を否定した。


【判旨】

「X₁につき住民票の記載をすることを求めるX₃の申出は、住民基本台帳法(以下『法』という。)の規定による届出があった場合に市町村(特別区を含む。・・・)の長にこれに対する応答義務が課されている(住民基本台帳法施行令・・・11条参照)のとは異なり、申出に対する応答義務が課されておらず、住民票の記載に係る職権の発動を促す法14条2項所定の申出とみるほかないものである。したがって、本件応答は、法令に根拠のない事実上の応答にすぎず、これによりX₁又はX₃の権利義務ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当しない・・・。」


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